どうやって小学校を選ぶ?
学校を決める判断基準
いろいろと説明していくと、どこも一長一短あって困ってしまいます。
そこで、学校を決めていくうえで、どんなところに注意して判断していけばよいのでしょうか。
学校の教育システム
私立や国立のほとんどの学校では、入学を考えている家族のために、説明会というものを開きます。
説明会に参加するまでもなく、学校の特色の大枠は、ホームページや受験雑誌などである程度はつかめます。仏教、キリスト教系の学校では必ず宗教教育があります。読経、花祭り、礼拝、バザー、聖書唱和・購読、宗教合宿など、信仰を強いられるものではありませんが、特色として理解してください。
またそれらの学校では外国語教育を行っているところが多くあります。英語は仏教系でも取り入れていますが、キリスト教系になるとフランス語やスペイン語といった科目が低学年より組み込まれることがあります。
そのほかにも六年間通して担任を持ち上がりにする制度や通知表を廃止しているところなど、それぞれのシステムは予備知識として入れておいてください。
附属(付属)の幼稚園は要注意
子供が入園以前の場合、私立小・中・高に繋がった附属幼稚園に入園させることもひとつの考えではあります。その場合、幼稚園が本当に先の学校まで保障してくれるかを調べておくことが必要です。
選抜推薦制で何割かは落とすところや、附属といっても小学校とはかなり離れた場所にあるため、距離制限で断られるというケースもあります。
また、推薦を断ってほかの小学校を受験した場合、一般受験生としてその学校を受けるという扱いも許してくれないところもあります。
そのまま小学校にほとんど無試験で上がったとしても、幼稚園でのメンバーの大半が持ち上がることを考えると、親同士の付き合いもその雰囲気のまま継続します。
そしてこれはまったく逆もいえます。附属の幼稚園を持っている小学校に外から入学した場合は、「附属組」が親子とも仲間同士ですでに固まっています。子供ならまだよいのですが、大人同士の付き合いは、少し面倒くさい場合が起こってくるかもしれません。
エスカレーター式を鵜呑みにしてはいけない私立大学附属小
附属幼稚園ばかりではなく、私立大学の附属小学校のほとんどは、その中間の中学・高校を系列に持っています。
学校説明会などでは「学業成績や行動面で問題がなければ、希望者は原則として進学できます」と説明します。また大学(あるいは短大)へも「優先入学の道があります」という話を聞くと、ほとんどの場合、小学校に入学することができれば、その先はほとんど無試験に近い状態で上までいけると思い込んでしまいます。
しかしそれは、「現時点」でのシステムでしかありません。
校長や理事長が替わればシステムも見直されることがあるかもしれません。
せっかく附属の小学校に入れたのです。意を決して話が違うと訴えてみても、ムダなことです。説明会では「学業成績に問題がなければ」と前置きしているのです。それを学校側は当時より重視しただけなのですから。
一方、系列の学校の進学を拒否してほかの学校を受験しようとする場合は、もっと大変です。
学校は受験の面倒はもちろん一切見てくれませんし、高校受験なら内申点はくれません。身一つで立ち向かう覚悟が必要になってきます。それに挑む根性がある親子は、かならず意思を貫き、成功します。
安易に入学すると困るかもしれない国立大学附属小
国立大学の附属小学校の場合、系列の中学・高校に進学しようとしても、それは私立大よりももっと厳しい現実が待っています。
現在、中学へはほとんどの生徒が進学できるシステムになっていて、高校がない場合はもちろん受験になるのですが、系列高校があったとしても、厳しい学校の場合、内部からの定員枠はほぼ四割程度のところもあります。ということは、単純に考えて、成績が上位四割の中に入っていなければならず、それ以下の生徒はほかの高校を自分で選択して受験することになります。ところが、外部受験となると、内申点において私立中以上に大きなハンディキャップが生じてきます。
というのは、国立中学の学力レベルは非常に高いため、公立中学ではトップクラスの力を持っている子でも、その中では「平均かそれ以下」の評価しかもらえません。内申点というのは学校内での相対評価ですから、優秀な学力であっても高いレベルで判定されるので、不当に低い点になってしまうのです。
公立の高校入試では、中学校の成績を重視しますので、低い評価では門前払いをされます。あえて狙うとすれば、私立高のテスト得点一発勝負ということになるでしょう。
国立大学の附属小を考えている親は、そこまで考えておく必要があります。
大学まで考えることも必要
幼時の段階で、大学まで考えていてはたまらない、という考えもあるでしょう。
しかし何度も言うように、いったん系列のエスカレーターに乗ってしまったら途中下車することはなかなか難しく、あえて実行しようとするにはかなりの「腕力」がいります。
少し考えてみてください。大学の附属に通っている子供が、高校の頃になって、やりたいこと、就きたい職業が芽生えたとき、系列の大学にその学部がないとしたらどうでしょう。
もし運よく希望の学部学科があったとしても、内部での競争があります。推薦は成績の上位から選出されていきますから、第二、第三志望の学科にまわされることも多くあります。成績上位の生徒が「人気が高いから」などの希薄な理由でその場所をとってしまい、本当にやりたいこと、学びたいことがある生徒の希望を学校側が叶えてくれないというケースも起こり得ます。
本気で大学受験を見据えて入学させようとするなら、中高一貫で預けるほうが得策です。でもそのような学校は六年間で受験システムを作り上げているため、多くの場合高校からの募集はしていません。そうなれば、必然的に小学校で中学受験のための力をつけさせてくれる学校を選択するということになります。
ですが、それは一面的な見方でしかありません。
子供の成長期における精神面や情緒的なものの育成など、預けてもよいといえる環境を両親でいろいろ考えてください。